治療説明
 
近年、乳幼児の歯の健康相談において、指しゃぶりについての相談を受けることが多くなりました。最近の資料を取りまとめてみましたので、参考にしてください。

どんなときに指導が必要となるのでしょう?
指しゃぶりも軽度の場合は、歯並びに対して影響することはあまりありません。またこのような場合は、自然に指しゃぶりが無くなる場合が多いようです。また、多少歯並びに影響があっても、自然に治癒するので、積極的な指導は必要ないでしょう。

しかし前歯が閉じなくなったり、タコができるような、ひどい指しゃぶりがあるときは、将来永久歯の歯並びにまで悪影響が残ることが考えられます。このような場合は指しゃぶりを止めさせるように指導していったほうがいいでしょう。


年齢ごとに見る指しゃぶりの影響

0〜2歳
まだ、神経質にならずに様子を見守ります。でも頑固な癖として習慣化してしまうことがあるので、2歳近くになったら口の中に入っている指をそっと外してあげるようにしましょう。

3〜4歳
3歳すぎたらやめるようにしましょう。この時期にやめられれば歯並びは自然に元に戻りやすい。この時期を過ぎても指しゃぶりを続けていると自然に治る見込みが少なくなります。ですからこの時期にやめられるかどうかが重要なポイントになります。

5〜6歳
悪くなった歯並びは自然には戻りにくくなります。永久歯が生える前にやめさせるようにしましょう。この時期になっても頑固な指しゃぶりが続いている場合には積極的にやめさせることが必要です。この時期以降の指しゃぶりはいろいろな歯科的問題を引き起こします。

7歳以降
顎骨の変形、二次的な舌癖も現れてくる。この時期以降のは歯並びだけでなく、歯を支えている顎の骨の成長にも影響が出てきて、出っ歯がひどくなってきたり、顔貌に変形が生じたりします。


一般的なケース
指しゃぶりは、生後3カ月以内からはじまることが多く、指しゃぶり児全体の75%が生後6か月以内に指しゃぶりをはじめるようです。通常4か月ごろが一番強く、だんだん弱くなっていきます。これは生理的な指しゃぶりで、遅くても1〜2歳頃になると自然消失するのが普通です。3歳すぎて指しゃぶりをしていたとしても、一日中ということはなく、保育園、幼稚園への入園をきっかけに、社会性の芽生えから指しゃぶりに対する恥じらいが生じたりして、抑制されるうちに自発的に止められることが多いようです。

(参考)3歳6カ月までに80%の子供が指しゃぶりを止めている。(山下)
        

問題となるケース
指しゃぶりが幼児期からはじまる場合があり、歯科的にはこちらの方が問題になることが多い。幼児期にいたっても行われる指しゃぶりは2〜3歳頃に何らかの心理的要因が働いて、子供の情緒の未発達のためタイミングよく指しゃぶりが消去されず、そのまま習慣化して癖になってしまったと考えられます。このような場合でも、本人のやめようという自覚と、母親の協力が得られれば指しゃぶりは比較的スムーズに除去できます。


指しゃぶりの原因
指しゃぶりの原因と考えられるもの
不適当な授乳方法あるいは授乳時間の不足
ゴム乳首の形態の不良
欲求不満等の心理的要因 孤独な環境 親の注意を引く手段 (フロイト)
問題のある育児姿勢・スキンシップ不足
早期離乳人工栄養

また習慣、学習説、疲労、倦怠などの説も報告されているが、特定の原因により引き起こされるとは限らないようです。
        
問題となるケース
<参考> 指しゃぶりをする子供の特性として、神経質、敏感、活発などの特徴があげられており、また情動、社会性の未発達が見られるときもある。両親の態度は過干渉あるいは放任など、真に情緒的に安定した親子関係が保たれていないこともあり、子供の性格のみならず、両親について知ることも保育上の問題点を把握するうえで重要である。子供の問題には、神経性習癖や性格、行動上の問題のように心理的要因が主になっているものと、精神的な発達遅延や、自閉症障害のように器質的な障害が主になっているものがあり、検査の結果次第では、小児神経科医や臨床心理士への紹介も必要になる。


指しゃぶりの影響
指しゃぶりをする子供たちすべてが、歯のかみ合わせがわるくなるわけではないですが、異常な吸引癖とかみ合わせの悪化には関連があり、指しゃぶりをしている子供たちの歯並びやあごの形に好ましくない影響が現れることが知られています。

歯並びへの影響
V字型の歯列弓(歯並びのアーチ)上顎の歯が前に出てくる 下顎の歯が内側にたおれこむ開咬(上と下の歯が噛みあわなくなる)
口元の形が悪くなる
上唇がめくれ上がって閉じなくなる
舌の突出癖 異常嚥下 口呼吸
上の歯と下の歯が開いて閉じないために、ものを飲み込むときに舌を挟み込まないと飲み込めなくなる。
発音への影響
さ行 た行 な行の発音障害
顎への影響
 
歯槽性の開咬 上顎前突 成長期にいたると骨格性の不正咬合へと移行する
心理的影響
        
問題となるケース
<参考> 指しゃぶりが早期に中止されれば、開咬等の不正咬合の自然治癒の可能性は大きい。しかし、指しゃぶりが成長期にいたるまで持続したり、2次的な機能異常を伴うと、成長にともない前歯部の歯槽性の開咬は顎顔面の形態異常を伴った骨格性の開咬へと移行する。