乳幼児歯科保健|長浜市、米原市の歯科医師会「一般社団法人湖北歯科医師会」

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乳幼児歯科保健

親と子の強い歯をつくろう運動

親と子の強い歯を作ろう運動は、私たち湖北歯科医師会が昭和42年から、乳幼児の健全な口腔の育成を目的として進めている事業です。

妊婦さんと、6歳まで各年齢の誕生日を迎えたお子さんのお口の衛生指導検診を行っています。
検診は無料で行なっています。手帳と同時に配布される無料券をお持ちください。妊婦検診から参加されるのが望ましいですが、1歳児検診~6歳児検診まで途中からの参加もできます。ご希望の方は各医療機関にご予約ください。
※治療の場合は所定の費用が必要となります。

【強い歯をつくろう運動の理念】

乳歯が妊娠第7週から形成されはじめるという胎生学的見地と、母体の栄養状態が乳歯の歯質の強化にかかわりが深いことから、妊婦に対する栄養指導を主とした啓発運動をはじめました。昭和42年当時では、この試みは画期的なことでした。
また、出産後の育児教育の一環として、乳幼児に対する摂食指導と口腔衛生指導を行い、同時にう蝕の早期発見と予防処置を行うことで強い歯をつくろう運動が形づくられました。

参加方法

妊婦検診への参加の方法

母子手帳交付の際に「親と子のお口の健康手帳」を配布しています。母子手帳と「親と子のお口の健康手帳」と無料券をお持ちになって、最寄りの歯科医療機関(湖北歯科医師会会員)へ予約の上、受診してください。
妊婦さんのお口の検診・衛生指導をいたします。また、この運動への登録もここで行います。なるべく妊娠7ヶ月までに受診される事をお勧めします。

1歳児検診への参加方法

お子さんが1歳の誕生日近くになられましたら、母子手帳と「親と子のお口の健康手帳」をお持ちになって、最寄りの歯科医療機関(湖北歯科医師会会員)へご予約の上、受診してください。お子さんの検診・口腔衛生指導を行います。ハガキ等による個別通知はありませんのでご注意ください。
※母子手帳と「親と子のお口の健康手帳」は必ずお持ちください。
※平成25年4月から、1歳児検診も各歯科医院での実施となりました。

【フッ素塗布について】

検診時に無料でフッ化物塗布も行っておりますが、各医療機関の医学的判断により実施されない場合がありますので、担当歯科医師にご相談ください。

2~6歳児検診への参加方法
(1歳児検診と同じです)

お子さんが誕生日近くになられましたら、母子手帳と「親と子のお口の健康手帳」をお持ちになって、最寄りの湖北歯科医師会会員歯科医療機関へご予約の上、受診してください。

指導の要点

※画像クリックで拡大表示

  • 1~2歳児
  • 2~3歳児
  • 3~4歳児
  • 4~5歳児
  • 5~6歳児
  • 6歳児以上

親と子のお口の健康手帳

強い歯をつくろう運動の歴史と変遷

昭和42年4月 長浜市坂田郡地区で強い歯をつくろう運動がスタートを切る
昭和46年 長浜市坂田郡歯科医師会と伊香郡浅井郡歯科医師会が合併
社団法人湖北歯科医師会が結成
強い歯をつくろう運動は、継続して事業の一つに位置づけられた
昭和52月3月 当時の湖北歯科医師会会長 故饗場太喜雄氏が、運動開始以来10年の成果を歯学雑誌・歯界展望第49巻第3号で報告
昭和62年11月 第39回近畿北陸地区歯科医学大会で「強い歯をつくろう運動20年の歩み」誌上発表(昭和42年~昭和59年の調査結果)
平成2年2月15日 湖北歯科医師会が滋賀県知事表彰を受賞
平成2年8月1日 強い歯を作ろう運動報告書(昭和60年~平成2年の調査結果)発行
平成2年10月13日 強い歯をつくろう運動や歯の衛生展、学校歯科保健活動等が認められ、湖北歯科医師会が厚生大臣表彰を受賞
平成14年4月1日 「親と子の強い歯をつくろう運動」に改定
平成25年4月 定点検診終了 会員各医療機関のみでの実施となる
平成27年12月 保護者の集計を開始
平成29年4月 無料券の配布を開始

※参考資料

  • 社団法人湖北歯科医師会:はんのき別冊 温故知新 遡歴(59-40)1985
  • 社団法人湖北歯科医師会:30年のあゆみ 2006
  • 饗場太喜雄:〝強い歯をつくろう運動〟~妊婦の栄養指導から始めて~ 歯界展望 第49巻 第3号 1977
  • 社団法人湖北歯科医師会:強い歯を作ろう運動報告書(昭和60年~平成2年) 滋賀県知事表彰を受けて 1990
  • 社団法人湖北歯科医師会:〝強い歯をつくろう運動〟の歩み 厚生大臣表彰受賞記念 1990

乳幼児歯科保健の湖北の現状

長浜市の乳幼児のう蝕の現状と課題

3歳児う蝕有病者率

滋賀県における3歳児の一人当たり平均う蝕数は、平成7年度の2.62本から平成29年度は0.49本と1/5に減少しているのが分かります。長浜市の3歳児のう蝕有病者率は、平成に入ってから減少傾向ですが、県の平均と比べていまだに高い状況です。
平成20年度から平成27年度にかけては、有病者率に減少傾向がなかったため、健康づくり推進協議会歯科部会を設置し対策を検討しました。「強い歯を作ろう運動」一層の推進のため、無料券の配布を実施。また「お茶でバイバイ!むし歯菌」による啓発活動・幼児歯科検診指導・子育て支援センター等の出前講座・むし歯予防フォロー事業の強化を図るなどの対策により、平成28年度から有病者率が減少し、一定の成果を上げています。

地区別う蝕有病者率3歳児

平成30年度の長浜市内地区別のう蝕有病者率をみると、市内地区別には受診者数にばらつきがあるため一概に比較することはできませんが、有病者率に差がある傾向が見られます。このような分析をもとに、地域ごとの細やかな対応も必要になると考えられます。

米原市の乳幼児のう蝕の現状と課題

米原市では、生涯を通じた生活習慣病予防に取り組んでいます。妊娠期からむし歯予防は大切であり、母子手帳を受け取りに来られた時から、生活リズムや食習慣の大切さ、かかりつけ歯科医を持つ必要性をお伝えしています。年々、むし歯のない児の割合が増加しています。1人当たりのむし歯数も減少傾向にあります。健康まいばら21(第2次)では、3歳児でむし歯のない者の増加(84%以上)を目標の1つに定めています。平成30年度はこれを達成することができました。

米原市3歳児のう蝕罹患率の推移

ハイリスクアプローチと
ポピュレーションアプローチ

むし歯は、食生活・歯磨き習慣を含むフッ化物の応用等により発症リスクが異なります。市町が行う乳幼児検診においては、むし歯発症のリスク分けを行い、ハイリスクのお子さんに対してフッ化物塗布・受診の徹底等の丁寧なフォローを行うとともに、検診の未受診者対策を行います。スポーツ飲料や乳酸菌飲料・ジュース等、砂糖を多く含む飲料を頻回に摂取することは、むし歯のリスクとして大きな要因となります。市町の乳幼児検診等の歯科保健指導の場においては、歯科衛生士による積極的な指導(支援)を行います。

一方、むし歯のリスクは全ての人にあるため、ハイリスク児だけでなくすべての子どもに対して、幼少時からかかりつけ歯科医を持つことの推進や、食生活の指導、フッ化物洗口等のポピュレーションアプローチを合わせて行うことが重要です。
県および健康福祉事務所(保健所)は、ハイリスクアプローチとポピュレーションアプローチが効果的に行われるよう、機会に応じて必要な指導や情報提供等を行います。

お茶でバイバイ!むし歯菌

長浜市の乳幼児から学童期のう蝕有病者率は県平均と比べて高い状況が続いています。平成28年度2月に長浜市健康づくり推進協議会に「歯科保健専門部会」が設置され、関係団体がむし歯予防に必要なことをライフステージに合わせて協議し対策を検討しました。翌平成29年度には、お茶は糖分を含まない代表的な飲み物であり、お茶を勧めることで甘い飲み物を飲む習慣をつけない取り組みとして「お茶でバイバイ!むし歯菌」というキャッチフレーズを採用しました。平成30年度には、「お茶でバイバイ!むし歯菌」とお茶推進の趣旨が、多くの世代に浸透していくようキャンペーンを実施しています。

「健康ながはま21」第4期計画等にも盛り込まれました。新時代の令和になり、健康啓発ソングの活用・チラシの配布などにより、広報活動を行っているところです。

【お茶とむし歯について】

むし歯は、ミュータンス菌が歯表面に付着(プラーク形成)し、付着した原因菌がつくる酸によって、歯の表面のエナメル質が溶けることで起こります。つまり、むし歯の予防には、ミュータンス菌がつくり出す酸を抑制することが重要です。お茶に含まれるカテキンは、ミュータンス菌の増殖を抑え、プラーク形成も抑制するため、むし歯予防に効果的であることが知られています。お子さんには、カフェインゼロのブレンド茶や麦茶、水を選ぶことをおすすめします。

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お砂糖の量の目安

孫育てハッピーガイド

「親と子の強い歯を作ろう運動」の一助として、長浜保健所と協力し「孫育てハッピーガイド」を作成しました。
今日でも、湖北の乳幼児むし歯の有病率は、低くありません。湖北口腔保健フェスティバルにおいて、保健所が実施されたアンケートから「おやつの回数が3回以上」「ジュースを食事中に飲む」「就寝時間が11時以降」「三世代同居」が子どもさんのむし歯を作りやすい傾向にあると言う結果が出ました。

「孫育てハッピーガイド」は、祖父母となる皆さんへ感謝の気持ちと、世代間のコミュニケーションを配慮した内容になっています。
日常の食生活に対してのアドバイス、またお砂糖を含んだおやつを控えていただくようにお願いしています。生活習慣に重きを置いていますので、祖父母の皆さんに歯科への理解を深めていただく機会になれば幸いです。
長浜市の「お茶でバイバイむし歯菌」ともタイアップしています。

お孫さんへのアドバイスなどは「親と子の強い歯を作ろう運動」を受診していただき、「お口の健康手帳」に、より具体的内容がありますから、参考にしてください。