高齢者・障がい者歯科保健|長浜市、米原市の歯科医師会「一般社団法人湖北歯科医師会」

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高齢者・障がい者歯科保健

瑞歯を守ろう運動

私たち湖北歯科医師会は、平成9年9月から「瑞歯を守ろう運動」を始めました。湖北地域にお住まいの60歳以上の方に、最寄りの歯科医院を受診していただき、無料検診と口腔衛生指導を行い、長寿のしるしともいえる健康な歯を長く守ろうという運動です。

高齢者の歯科保健に関しては、もしも寝たきりになってから歯科治療を行う場合、基礎疾患の程度により治療のリスクも高くなり、処置も制限され十分な医療を施すことが出来ません。できるだけ元気なうちに健康な歯を守っていく必要があります。

今まで見過ごされてきた高齢者のお口の検診を実施し、口腔衛生管理を行えるよう衛生指導し、治療を必要とする場合は治療をお勧めします。健康なうちから定期検診を受けることにより、もし寝たきりになった場合でも、かかりつけ歯科医による一貫した治療を受け、健全な口腔を保つことにつながるものと考えています。
現在は、県の事業として高齢者の歯科検診事業を行っています。

現在の事業として「瑞歯を守ろう運動」に参加された中から、特に口腔状態の優秀な方を、毎年6月開催の「湖北口腔保健フェスティバル」の「8020健康老人表彰」の中で表彰を行ない、記念品を授与しています。

【瑞歯の由来】

『瑞歯』とは「瑞々しい歯、めでたい歯、長寿のしるし」という意味があります。「瑞歯別天皇(みずはわけのみこと)は、生まれながら歯骨のごとし。」と日本書紀にしるされ、歯が丈夫で生命力があふれているところからこのように命名されたとされています。
また「ミズハワケノミコト、御歯上下等しくととのひて、すでに珠を貫けるがごとくなりき」と古事記にしるされています。瑞歯を守ろう運動は、この語源に由来しています。

在宅医療への取り組み

訪問歯科診療の依頼をしたい場合

お体の具合のためほとんど歩けない、また寝たきりであるなど通院困難な方の訪問診療を行っています。
以下のような手順でお申し込みください。

Step1かかりつけの歯科に、訪問診療が可能かご相談ください
今まで通院されていた歯科医院であれば、お口の状態をある程度把握していますので、訪問診療にも対応しやすいです。
訪問診療には準備と特殊な機材も必要です。日時の調整も必要ですので、電話などでご相談されることをお勧めします。
Step2長浜保健所の「歯科マップ」から行きやすそうな歯科医院を探して相談してみてください
かかりつけの歯科がない場合などは、下記の「歯科マップ」をダウンロードしてご覧いただき、なるべく近隣で訪問診療に対応している歯科医院に電話でご相談ください。医院でのバリアフリーに関する情報も掲載しています。
Step3担当ケアマネージャーがおられたら、その方にご相談ください
ケアマネさんに歯科マップを利用して探してもらうことができます。あるいは、ケアマネさんのお知り合いの歯科を紹介してもらうのも良いでしょう。
Step4湖北歯科医師会事務所に電話でお問い合わせください

電話(0749-62-3020)で状況をお聞きして、本会の担当部署が訪問診療してくれる歯科医院をご紹介します。

【「かかりつけ歯科医」を持つことをお勧めします】

定期的に受診して歯のクリーニングを受け、お口の中を普段から健康に保っていくことが推奨されます。「かかりつけの歯科医」は、家族や友達・近所の人が行っている歯科医院を受診してみて、そこで治療を気持ちよく受けられたら、ご自分のかかりつけにされてはどうでしょう。長浜保健所が発行している「歯科マップ」があります。そこに湖北地域の歯科医院の詳細な情報が掲載されています。「歯科マップ」を参考にして通いやすい歯科医院を探してみるのも良いと思います。

歯科マップ

長浜市米原市の歯医者さん情報

この歯科マップは、健康であっても障害があっても高齢になっても身近に住み慣れた町で歯科医療を受けたいという思いを大切にして、関係機関とともに作成した歯科医療情報誌です。

平成30年2月の改訂より約6年が経過したことから、令和2年2月に発行した歯科マップ(別冊)~訪問歯科診療版~と合わせて内容を見直し、令和6年2月に刷新しました。

この歯科マップの情報により、障害の有無に関わらず、子どもからお年寄りまで、誰もが気軽に歯科受診ができる『かかりつけ歯科医院』を見つけ、歯および口腔、そして全身の健康の維持・増進に繋がることを願っています。なお、この歯科マップは、調査にご協力いただいた医療機関のみ掲載しております。ご了承ください。

高齢者福祉施設への訪問指導

平成27年の国勢調査によると、滋賀県の総人口1,412,916人に対して75歳以上の人口は158,340人(11.2%)、65歳以上の人口は337,877人(23.9%)となっています。高齢者歯科保健に関しては、今後ますますそのニーズが高まってくるものと思われます。
湖北歯科医師会として、これまでも高齢者施設の検診・訪問歯科診療・口腔ケアなどについての事業に取り組んできました。

平成23年から現在(令和2年)まで

湖北歯科医師会は、介護老人保健施設「湖北やすらぎの里」において、入所者の方への歯科検診、口腔ケア、摂食嚥下指導と職員の方へのアドバイス等を行っています。「口腔ケア」とは口の中を清潔に保つケアのことです。加齢とともに体の機能が衰えると自力で歯ブラシをするなど口腔環境を整えることが難しくなります。介護者が高齢者の口腔内に気を使ってあげる必要が出てきます。また物を飲み込む嚥下機能がとろえると食べ物や唾液が気管に入ってしまうことがあります。この時口腔内の細菌が肺にまで入って起こるのが「誤嚥性肺炎」です。口腔内の汚れや細菌を減らすことが誤嚥性肺炎の予防につながるのです。

訪問回数を重ねるにつれ、入所者の口腔衛生状態の改善が顕著に見られ、誤嚥性肺炎の発生頻度も減少しました。事業を開始した当初は毎月2回の訪問を行っていましたが、施設職員の方の理解と協力もあり、入所者の口腔衛生管理が向上したため、現在は月1回の訪問にて摂食・嚥下指導へと移行しています。

訪問歯科診療の潜在的ニーズはまだ多くあると思われ、本会としての訪問歯科診療・口腔ケアへの対応力をさらに充実したうえで、地域住民や高齢者福祉施設への口腔衛生に対する啓蒙と改善に努めていく必要があると考えています。

平成23年から平成25年

平成23年から平成25年、地域医療再生計画に基づく訪問在宅歯科医療の推進をすべく、集中的に事業展開を行いました。平成23年には、全国に先駆けて訪問口腔ケアセンターを開設された新潟県上越歯科医師会へ表敬訪問、平成24年には全国初の口腔リハビリテーション専門医療機関である日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニックを視察、平成25年には藤田保健衛生大学七栗サナトリウムにて摂食嚥下リハビリテーションの研修を行いました。他に、口腔機能向上研修会や他職種参加型の認知症高齢者への対応についてのグループディスカッションの開催、日本口腔リハビリテーション学会や嚥下内視鏡ハンズオンセミナーへ参加して会員の知識とスキルの向上を図りました。また、訪問診療用のポータブルユニットやポータブルレントゲン撮影機等の会員歯科医師への貸し出し機材の購入を行いました。この平成23年から平成25年の間に会員歯科医療機関の訪問診療の件数は約2倍に増加しました。

平成5年頃

平成5年頃には「老人福祉施設坂田青成苑」の歯科口腔検診を行っていました。当時は口腔ケアの重要性がまだ広く認識されていないこともあり、施設の職員の方々にも戸惑いや、歯科医師サイドとの意見の食い違いもありましたが、訪問の回数を重ねるにつれ、高齢者の口腔衛生の維持管理がいかに重要であるかが少しずつ理解されてきました。

 

在宅医療における多職種連携

歯科医師は、皆さんよくご存じのように、むし歯や歯周病を治療しています。現在超高齢社会を迎えて、日本人の死因第3位の肺炎が口腔内の細菌が原因であり、この誤嚥性肺炎や低栄養を予防するために『口腔ケア』による口腔機能の維持・向上が重要であるという考え方が認知されてきました。

手術前後の『口腔ケア』が入院期間を短くする効果が明らかとなり、医療の現場にも定着してきました。このように、歯科医療が医療と福祉に密接な関係を持ち、健康長寿にはたす歯科の役割が脚光を浴びるようになってきたのです。

このような新たな歯科の役割を機能させるのが「多職種連携」です。「多職種連携」を推進していくためには、地域における病診連携・診診連携を含めた医科と歯科の連携を軸として、患者さんに関わる医療福祉のスタッフの連携が必要です。

多職種連携会議で訪問歯科診療について講演する
本会公衆衛生部理事瀧上啓志先生

平成10年の厚生白書に初めて「かかりつけ歯科医」の考え方が示されました。チーム医療の導入や医療計画の見直しなど、臓器や機能別の対応を患者自らが選択するような医療のあり方から、「多職種連携」が機能すれば、その人らしい暮らしが実現するとも考えられます。特に生活に密着する歯科はその役割が大きいと思われます。

患者さんを支える多職種のスタッフと情報を共有することによって、より適切な支援方法がわかってきます。患者に関わる様々な専門職種が臨床経験・科学的根拠に基づいた評価を行いながら、その方の全身状態、地域性や社会との関わり方、人生観や価値観まで総括された治療やケア計画を決定することが他職種連携の究極の意義となります。

湖北歯科医師会においても、歯科医師とともに働くスタッフに加え、医師・薬剤師・保健師・看護師・管理栄養士・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・社会福祉士・介護福祉士・介護支援専門員の方々と多職種間との連携を進める方針です。

高齢者歯科検診事業

滋賀県後期高齢者医療広域連合
平成30年度歯科健康診査推進計画

「高齢者の医療の確保に関する法律に基づく保健事業の実施等に関する指針」(平成26年厚生労働省告示第141号)が示され、滋賀県後期高齢者医療広域連合(以下「広域連合」という。)においても、平成30年度から平成35年度までを計画期間とする保健事業実施計画(データヘルス計画)を平成30年3月に策定しました。
これに基づき、健康診査やレセプトデータ等の分析から、滋賀県における後期高齢者の健康課題を提示し、その課題を解決する方策として実施すべき保健事業を取りまとめており、肺炎や低栄養防止など高齢者に多く発生する疾病予防のきっかけ作り等の観点から、平成29年度から全県下で実施している歯科健康診査(以下「歯科検診」という。)について、事業向上を図ることとし、「歯科健康診査推進計画」が策定されました。

(1)歯科検診の目的

歯科検診は、う蝕(むし歯)の発見・義歯の状態や口腔衛生状況等の確認・歯磨き指導等により口腔環境を改善し、口腔機能の低下や誤嚥性肺炎等、高齢者に多く発生する疾病予防のきっかけ作りと、被保険者の健康の保持増進・健康意識の向上を図ることを目的とします。

(2)歯科検診の実施

歯科検診は、広域連合が一般社団法人滋賀県歯科医師会に業務を委託し、歯科医師会の指定した医療機関が行います。
平成30年度は、歯科検診受診率の目標を20%に設定しています。歯科健康診査は、滋賀県後期高齢者医療保険の被保険者で当該年度内に76歳または81歳となる被保険者に実施します。一部に例外があります。

平成30年度歯科健康診査推進計画

障がい者(児)歯科保健医療推進事業

滋賀県における障がい者歯科保健医療分野については、「滋賀県歯科保健計画~歯つらつしが21(第4次)~」に基づき、障がい者医療における医療機関間の連携、障がい者通所事業所における歯科検診の普及を目指しており、平成25年度から、滋賀県・滋賀県歯科医師会・滋賀県歯科衛生士会において、障がい者(児)歯科保健医療推進事業を実施しています。

障がい者通所事業所における歯科検診の普及を目指して、各団体や関係者が連携して障がい者の歯科保健医療体制の整備をすすめるため、歯科検診歯科保健指導システム構築検討会を設置し、歯科検診を実施するための関係者の役割や検診の内容・様式などを手引きとして定めました。

障がい者(児)歯科保健医療推進事業における歯科・歯科保健指導事業実施のてびき

8020運動

「8020運動」全国調査は50%を達成しました

8020運動が1989年に始まってから30年が経ちました。この運動が始まったころは、10%にも満たなかった8020達成者が、2016年の調査で50%になりました。(厚生労働省「歯科疾患実態調査」)平成27年度の調査になりますが、滋賀県は40%です。(歯つらつしが21(第5次)平成30年より)

「8020運動」で歯の健康寿命が延伸

平均寿命が長い時代となり、社会の活力を維持するため健康寿命の延伸が求められています。歯の健康寿命を延伸させる8020運動は、健康寿命の延伸に対しても貢献してきました。30年間でなぜこの目標を達成できたのでしょう。

「8020運動」で歯と口の健康への関心が高まり、歯科保健状況が改善

歯科医院では、歯科疾患の予防を図るための保健指導が積極的に行われるようになりました。歯科を受診する約3割の患者さんが、歯周疾患の治療で歯科診療所に来院されていて、今まで以上に歯を残すための治療が行えるようになりました。
この結果、未処置のむし歯の減少、喪失歯の減少が認められ、8020の達成に近づいています。

8020運動が開始された当時と現在における、個人の歯科に関する生活習慣の変化
  • 1日3回以上歯をみがく人が倍以上に増加
  • デンタルフロスや歯間ブラシ等の補助的な清掃用具の使用
  • 定期的に歯科を受診する人が増加
  • フッ化物配合歯みがきのシェアが増加
  • 年間砂糖消費量の減少

むし歯予防や歯周疾患の進行を抑えるよう努力をする人が増えその結果、歯を失う人が減りました。2017年には、フッ化物配合濃度が1,450ppm(従来は1,000ppmまで)の歯みがき剤が発売されるようになり、むし歯の予防が進むと期待されています。
2011年に「歯科口腔保健の推進に関する法律」が制定されましたが、最近では、成人の歯周疾患検診や後期高齢者の歯科検診が行われるようになり、歯の健康を保つための試みが行政などでも行われるようになってきました。

長浜市の実施する歯周病検診について

成人歯科指導の風景

定期的に歯科検診を受けましょう

歯周病は初期のうちは自覚症状が少ない病気です。また、口の中だけにとどまらず、糖尿病などの生活習慣病を悪化させると言われています。8020を確実に達成するためにも、歯周病の早期発見や予防・早期治療が大切です。そのためにも定期検診が大変効果的です。
市が実施している歯周病検診や歯科医療機関で、1年に1度は口の中の状態をチェックしましょう。
長浜市では、総合検診会場において歯周病検診も実施しています。