歯が生えてこない場合の対応|長浜市、米原市の歯科医師会「一般社団法人湖北歯科医師会」

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歯は友コラム

咬合育成歯科治療

歯が生えてこない場合の対応

人間は歯を一本も持たずに生まれて、3歳ごろには全ての乳歯が生えそろいます。その後、6歳ごろから実に6年ほどの期間を経て、永久歯へと全ての歯を交換させます。この過程は見事なものでほとんどの場合、スムーズに交換がなされます。(図1)


そうはいっても、なかなか生え変わらない方、変な位置に生えてしまう方もいます。萌出遅延、萌出障害などなど色々な病名がつけられています。こう言った障害の原因は非常に多岐にわたります。歯のサイズが大きかったり、あるいは先天的に歯がなかったり、あっても位置が異常であったりなどの原因が挙げられるでしょう。

実際の日常臨床の中で、乳歯から永久歯の交換が遅いと訴えて来院される方の中で最も多いのは、「単に遅いだけ」と言うものです。乳歯の萌出ですら、1年程度の誤差がありますし、永久歯に至っては3年程度の誤差が生じることも稀ではありません。さらに、男女の差、体格の差などあらゆる原因で誤差が生じます。しかしながら、「多分、生え変わりが遅いだけだ」と放置することはお勧めできません。生え変わりが上手くいかないケースの中には異所性埋伏と言う症例があります。

歯が発生した後に、口の中に向かって生えてこないと言う現象です。運が良ければ、変なところから生えてくるか、ずっとそこに埋まっています。そうでなければ、近隣にある別の永久歯にダメージを与えながら生えてきます。そうなってしまうと健全な永久歯を失ってしまうリスクが高まります。図2のレントゲンで示しているのは、上あごの糸切り歯(青丸)が本来の位置より前向きに傾いて生えようとしている状況です。早期に介入すれば、この糸切り歯の位置を変化させることが可能です。

図2 本来は、赤丸の位置に生える歯が、前向きに傾いて生えようとしている。

一方で、診察をしていると成人された方の中にも時折、乳歯が残っていたり、永久歯が生えていないと言う方がいらっしゃいます。当然ですが、生え変わりがうまくいかないからと言って健康を損なう訳ではありません。そのほかの健康被害もほとんどないと言ってもよいでしょう。上手くいけばすんなり良い位置に収まってくれるかもしれないし、悪くても何本か永久歯がなくなる程度です。大体の場合は歯並びが多少叢生(ガタガタ)になるぐらいのことで、生え変わりがゆっくりだぞと心配するほどのことではありません。

重要なのは、自分で(あるいは保護者の方が)状況を把握し、どのようなリスクが有るのかを理解しておくことです。もし、生え変わりに不安を感じていらっしゃるのであれば、最寄りの歯医者さんにご相談してみてください。