高齢者の口腔ケアの重要性2
高齢者の口腔ケアの重要性1では、口腔ケアのうち口腔清掃を意味する「器質的口腔ケア」を説明しました。今回はもう一つの口腔ケアである「機能的口腔ケア」について述べたいと思います。
「機能的口腔ケア」は、口の周りや舌などに対し運動トレーニングやマッサージを行い、食べたり話したりする機能を維持・向上あるいは回復するケアになります。そしてこの口腔ケアも、加齢によって口の周りや口腔の機能が低下しがちな高齢者にとって、非常に意味のある行為となります。
代表的な機能的口腔ケアには、お口の体操と唾液腺マッサージがあげられます。日常的に行い易い簡単なケアであり、以下に詳細を示します。
お口の体操
飲み込みや発音に必要な筋肉をトレーニングするために行います。

1)舌の体操(図1)
a.舌をベーと前に出し、次にその舌を喉の奥へ引く(奥へ引っ込める)。
b.口の両端をなめる。
c.鼻の下、顎の先を触るようにする。
2)頬の体操
a.頬を膨らませたりすぼめたりする。
3)発生訓練(図2)
a.「パ・タ・カ・ラ」をゆっくり、はっきり繰り返し言う。
以上1)〜3)を数回繰り返します。
2、唾液腺マッサージ(図3)
唾液を出やすくし、口の乾燥を防ぐために行います。ヒトの大きな唾液腺(唾をつくって分泌する組織)には、耳下腺、顎下腺、舌下腺が左右に一対あります。耳下腺は耳の前下方、顎下腺は下顎横の内側、舌下腺は下顎前の内側にあります。それらを指で刺激し唾液腺の活性を促します。
1)耳下腺マッサージ
両手の親指以外の指4本を左右の頬に当て、
軽く圧迫しながら耳の前下方を後ろから前に向かってぐるぐる回す(10回位)。
2)顎下腺マッサージ
両手の親指を、左右の顎の下の内側の柔らかい部分に当て、
耳の下から顎の先にかけて、痛くない程度で5か所位を順番に押す(各5回位)。
3)舌下腺マッサージ
両手の親指を揃え、顎の先の骨の内側を、
突き上げるように痛くない程度でグーと押す(5回位)。
口腔の機能を維持・向上あるいは回復するため、ぜひ実践してみて下さい。
リラックスして行いましょう!
公衆衛生部理事 瀧上啓志