口腔ケア高齢者歯科保健
高齢者の口腔ケアの重要性1
皆さん、最近口腔ケアという言葉をよく耳にするのではないでしょうか。その口腔ケアですが、大きく二つに分けられます。
一つは、歯磨きやうがいなどにより口の中を清潔にする器質的口腔ケアです。そしてもう一つは、口の周りや舌などに対して運動トレーニングやマッサージを行い、食べたり話したりする動きを維持・回復する機能的口腔ケアです。これらはともに、高齢者にとって大変意味のある行為になりますが、今回は前者の器質的口腔ケアについて説明したいと思います。
器質的口腔ケアは、口の中を清潔にする行為であり、口腔清掃という事になります(ここからは単に口腔ケアと呼びます)。この口腔ケアは多くの方がご自身で日常的に行っていますが、残念ながら高齢者では、年を増すごとに上手く行えない方が増えていきます。
その理由として、認知症の発生、脳梗塞や心臓疾患などの全身疾患の発生が挙げられます。もともと高齢者は、唾液分泌機能が低下し口腔乾燥が起こりがちですが、その他にも様々な理由でお口の中が不潔になり易い状態といえます。
高齢者の口腔ケアの課題:
- 乾燥しがち
- 食べた物が停滞しがち
- う蝕、歯周病が多く見られる
- 舌苔が生じやすい
- 義歯の装着者が多い
よって高齢者の方には、それまで以上に口腔ケアに注意を払って頂きたいところです。さらに介護が必要となった方では、誤嚥性肺炎予防のためにも、口腔ケアをしっかり行うことが大変重要となります。
口腔ケアの目的・効果は以下のように多岐にわたります。
疾病予防
- う歯・歯周病
- 口臭
- 口腔乾燥
- 舌苔
- 口内炎
- カンジダ症
- 誤嚥性肺炎
口腔の障害の改善
- 疼痛の軽減
- 味覚の維持
食欲の増進
- 栄養摂取の増加
- 唾液の分泌促進
QOLの向上(生きがい・爽快感)
- 言語が明瞭になる
- 対人関係の円滑化
- 美しさの保持
- 生活に対する意欲
口腔ケアのご相談は、かかりつけ歯科医院か、在宅療養の方はケアマネジャーさんにご相談頂くのが良いでしょう。
湖北歯科医師会公衆衛生部理事 瀧上啓志