歯周病とアルツハイマー型認知症の深い関係|長浜市、米原市の歯科医師会「一般社団法人湖北歯科医師会」

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歯は友コラム

歯周病歯科の科学

歯周病とアルツハイマー型認知症の深い関係

最近CMでも聞くようになった「アミロイドβ(ベータ)」をご存知でしょうか。 アミロイドβはアルツハイマー型認知症の原因物質の一つであり、なんと発症する10〜20年も前から脳内で溜まり始めていると言われています。これが蓄積して毒素を出し、脳の神経細胞を傷つけて死滅させることで、認知症が発症・進行します。

近年の研究により、このアミロイドβを「爆発的に増やしてしまう原因」が歯周病であることが分かってきました。歯周病が進行すると、お口から血管内に侵入した歯周病菌やその毒素(ジンジパインなど)が脳へと流れ込みます。九州大学などの研究では、これによって脳内のアミロイドβが通常の「約10倍」にまで増加したと報告されています。

ジンジパイン(Gingipain)

この酵素は、主要な歯周病菌の一つである「ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.g.菌)」が産生する特有のタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)のことです。この「ジンジパイン」こそが、先ほど触れた「歯周病菌が脳を攻撃し、アルツハイマー病を悪化させる」というメカニズムの鍵を握る物質として、近年の研究で非常に注目されています。

1. お口の中において、ジンジパインはP.g.菌の“最強の武器”として働きます。

◯組織の破壊: 歯肉(歯ぐき)のコラーゲンなどの結合組織をバラバラに分解し、歯周ポケットを深くします。
◯免疫のブロック: 体の免疫細胞(白血球など)を攻撃・破壊し、菌自身が生き残りやすい環境を作ります。
◯出血を促す: 血液中の成分を分解して出血を促します。P.g.菌は血液中の「鉄分(ヘム鉄)」が大好物であるため、ジンジパインを使って自らの栄養源を確保しているのです。

2. なぜ「脳」で悪さをするのか?
通常、脳には「血液脳関門(BBB)」という厳しい検問所があり、有害な物質やバイ菌は脳内に入れない仕組みになっています。しかし、ジンジパインには血管の細胞を緩める作用(血管透過性の亢進)があるため、この脳の検問所をすり抜けて、脳内へ侵入してしまうことが分かっています。

3. アルツハイマー型認知症との恐ろしいリンク
実際にアルツハイマー型認知症で亡くなられた患者さんの脳を調べたところ、多くのケースで脳内から高濃度の「ジンジパイン」が検出されたという世界的にも衝撃的な論文(2019年・Dominyらの研究など)が発表されています。脳内に侵入したジンジパインは、以下のような悪循環を引き起こします。

◯脳の神経細胞を直接傷つけて死滅させる。
◯脳のゴミである「アミロイドβ」の産生と蓄積を増やす。
◯もう一つの認知症の原因物質である「タウタンパク」を異常に変化させ、神経のネットワークを壊す。

40代・50代のうちからお口の中を清潔にし、歯周病治療を行うことが、将来の認知症予防に直結するのです。ご自身のため、そして大切なご家族のためにも、お口のセルフケアと歯科医院でのプロフェッショナルケアで、今から将来の脳の健康を守っていきましょう!